2015.07.22


【インタビュー】
次の50年へ感度高め 物流の研究者育てたい

流通経済大学 野尻 俊明 学長 

 昭和40年の創立から、今年で50周年となる流通経済大学(野尻俊明学長)。「実学主義」を標ぼうし、物流をはじめ多くの業界に3万人以上の卒業生を送り出してきた。一方、他大学では物流分野からの撤退が相次ぎ、若手の研究者が激減。「次世代を担う物流研究者の育成が一つの使命」と語る野尻学長に、次の50年に向けた大学のビジョンを聞いた。

 ――4月、学長に再任。
 野尻 創立50周年の節目に学長に再び就いたことは、卒業生としてまさに巡り合わせ。次の50年に向かって、新しい流経大を創っていきたい。
 ――記念事業は何を。
 野尻 新校舎の建設や将来を担う学生への支援を目的とする「みらい基金」の創設を進めていく。すでに新松戸キャンパスの新校舎は建設中で、来年春にも完成する。

「物流学」の未来に危機感

 ――流通経済一般に関する研究と教育の振興が建学の理念。
 野尻 開学当時、一般に知られてなかった「流通」という言葉は、いまや交通・運輸だけでなく、小売りなど商流を含む概念になった。本学では、流通の中でも物流・ロジスティクスの分野にこそ大学の特色があると見出し、共通認識としている。
 ――物流をめぐる研究分野も変化。
 野尻 物流は総合的な学問分野になりつつある。経済や経営、法律のみならず、都市工学系や情報学系の研究対象でもある。学問的な意味で拡散している物流を定義付けしなければ、ばく然としてしまい、学問として成立しなくなるという危機感を抱いている。
 ――研究者は育っているのか。
 野尻 事実、他大学では物流・交通分野の学科やコースが激減し、若手研究者がほとんどいない。本学としては、次世代の研究者を育成することが使命。チャレンジ精神のある若手がいれば責任を持って育てていきたい。
 ――流経大は「実学主義」が特徴の一つ。
 野尻 「現場を感じさせる」ことが、実学主義のベース。世の中の動きを体感させ、分かりやすく具体的に教えることがポリシーだ。流通情報学部の1年生には、入学してすぐに最新鋭の物流施設を見学させている。
 ――学生に社会との接点を与える。
 野尻 ほとんどの学生は目的意識を持たず入学してくるが、感受性は高い。現場を体感させ、アルバイトでは得られない刺激を与えることで、関心や興味の幅が広がる。
――産学連携の教育カリキュラムも魅力。
 野尻 40人近くの客員講師が最新の物流事情をテーマに講義を行っている。日本通運や全国通運連盟などから講師を招く寄付講座も学生の人気が高い。今後も手を抜かず取り組む。
 ――インターンシップなど就職支援にも注力。
野尻 物流業界に進む学生が多いのが本学の特徴。手を替え、品を替えて物流の重要性を学ばせ、優秀な人材を業界に供給していく。自力で勝ち取る自信を付けさせるべく資格取得も奨励している。

感受性養い先取りする

 ――少子化も課題。
 野尻 18歳以下の人口が減り、私立大学の4割が定員割れといわれるいま、本学も総合大学としてのアピールを強めていかなければ学生を確保できない。同時に物流分野に特化した専門性を大学の強みにしたいという思いも心中にある。
 ――今後の流経大に求められることは。
 野尻 時代は刻々と変わっている。教える側も過去に捉われず、最新の知識を学生に教えていく姿勢が必要。大学としていかに社会のニーズに対する感受性を養い、先取りできるか。次の50年を築くための鍵になる。

記者席 「私を決めた流経大」

 5学部8学科と5つの大学院研究科を持つ中規模総合大学に発展した流経大。前回の学長就任時は「危機的な状況だった」。平成16年に新松戸キャンパス(千葉県松戸市)を開校し、翌17年にスポーツ健康科学部を開設。「思い切った取り組みだった」が、以後は定員割れもなく現在に至る。
 インターネットで情報が簡単に入手でき、高をくくる若者が多くなった。「自分の物差しだけで将来を決めるな」「多様なことに関心を」と学生に口酸っぱく投げ掛ける。
「いまの私を決めたのはこの大学」。自らも流経大で多くを学び、恩師や同僚、先輩、後輩などとのたくさんの出会いを得た。愛着も強い。
 「一人でも多く、物流業界でリーダーとして活躍できる人材になってほしい」。次世代を担う学生へのまなざしは、厳しくも熱い。

(略歴)
 野尻 俊明氏(のじり・としあき) 昭和25年6月15日生まれ、65歳。栃木県出身。48年流経大経卒、54年日大院法学研究科博士課程単位取得満期退学、日通総合研究所入社。平成元年流経大社会学部助教授、社会学部教授、流通情報学部教授を経て、14~20年学長、25年日通学園専務理事、27年4月流経大学長に再任。法学部教授も務める。(水谷 周平)

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